癒しのコツ~茶と骨~
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その七、「エデン」「サクリファイス」(近藤史恵)

サクリファイス 「サクリファイス」近藤史恵

ぼくに与えられた使命、それは勝利のためにエースに尽くすこと――。陸上選手から自転車競技に転じた白石誓は、プロのロードレースチームに所属し、各地を転戦していた。そしてヨーロッパ遠征中、悲劇に遭遇する。アシストとしてのプライド、ライバルたちとの駆け引き。かつての恋人との再会、胸に刻印された死。青春小説とサスペンスが奇跡的な融合を遂げた! 大藪春彦賞受賞作。 (裏表紙より引用)

エデン そして続編となる「エデン」近藤史恵

あれから三年――。白石誓は唯一の日本人選手として世界最高峰の舞台、ツール・ド・フランスに挑む。しかし、スポンサー獲得を巡る駆け引きで監督と対立。競合チームの若きエースにまつわる黒い噂に動揺を隠せない。そして、友情が新たな惨劇を招く……。目指すゴールは「楽園」なのか? 前作『サクリファイス』を上回る興奮と感動、熱い想いが疾走する3000kmの人間ドラマ! (裏表紙より引用)

自転車ロードレースと言うあまり馴染みのない競技を題材にしたミステリーヒューマンドラマです。

メジャーなスポーツで無い以上、当然自転車ロードレースを知らない人の為に競技の説明をところどころに入れて進めざるを得ないのですが、まったく違和感なく読み進めることが出来る辺りは、流石プロの作家というところです。

想像だにしなかったほど繊細で緻密で、それでいてタフな競技背景やルールを知るだけでも自転車ロードレースの世界の奥深さに感嘆すること間違いなし。その上で違和感なくミステリーを組み込まれているのだから面白くないわけがない。

どんなスポーツにもそれが団体競技であれば黒子役が必要ですが、これほどチーム内の役割が冷酷なまでに決まっている団体競技もないのではないでしょうか。

もしかしたら自転車ロードレースという競技は他のどんなスポーツよりもヒューマンドラマの要素に満ちているのかもしれない。薬物検査一つとっても他の競技とは一線を画していると感じてしまうほどの凄まじさが感じられます。

ボク自身、自転車ロードレースに関しては「ツール・ド・フランス」という名前を聞いたことがあるくらいにしか知らなかったのですが、十分感動できます。

読み終わった後には喪失感と哀しさの余韻の奥で、清々しさにも似たわずかな希望の疼きを残して物語りが終わる。まさに人間ドラマという言葉がふさわしい珠玉の小説です。しかも文量も丁度良い。万人に勧められる素晴らしい本です。

しかしまあ・・・自転車ロードレースの中では「チームワークの徹底」の先にあるものがこうも冷酷で残酷な世界とは・・・個人的には現在の教育情勢「皆平等」や「競争はダメ」みたいな風潮の中に居る子供たちや、その親にこの本を読ませてんでもらいたいものです。

窓の風景その7