癒しのコツ~茶と骨~
骨 茶道のコツ
骨 続・茶道のコツ
骨 続々・茶道のコツ

その三十七、静岡お茶屋紀行~茶の芽~

静岡県静岡市葵区大原1827
創業60年以上たつ老舗森田製茶が運営する日本茶カフェ茶の芽

外観からしてとても雰囲気のある装いでしす。のどかな風景の中に溶け込むようにあるこの情緒あふれる佇まいが素晴らしい。

毎日のお食事どきに、楽しい語らいに、一家団欒に、お仕事中の一休みに… 緑茶は日本人の文化であり、毎日の暮らしに欠かせない最高の自然飲料です。 また緑茶の効用は最新の研究でも次々に証明され、健康機能性食品として各方面から注目を集めています。 静岡市を流れる藁科川流域の山間部・大原の里で、自然の恵みをいっぱいに受けて育った山のお茶「本山茶」。 御家庭用として、またご贈答品や冠婚葬祭のお引き物・お返し用として、森田製茶にぜひご用命くださいませ。
森田製茶のホームページより

素晴らしい雰囲気の店だ。ただテーブル席が少ない為に、時間帯によっては入ることすらできないかもしれない。何でもこのカフェの近隣にある家が、日本に日本茶を広めたという聖一国師の家だという。これはまたご利益のある場所に来たものです。

売りとなっているのは日本茶はもちろんのこと、焼団子、ほうじ茶プリン、抹茶チョコフォンデュ。

週末限定でシフォンケーキもある。

天空セットとほうじ茶プリン、抹茶チョコフォンデュを注文しました。

店内には有名人のサインも並んでいます。

待っている間に店主にいろいろ話を聞かせていただきました。

私がこの業界に入ったのは二十歳くらいの時です。鹿児島に3年間修行に行ったんです。今から15年以上前になります。

鹿児島にですか?

静岡の人は鹿児島にお茶の修行に行き、鹿児島の人は静岡にお茶の修行に来る。そういう慣例があるんですよ。

なるほど。茶業界は厳しいと聞きますが、どうでしょう?

原発の風評被害ですね。これが一番辛かったです。一度離れてしまったお客様はなかなか戻って来てはいただけませんでした。

ああ・・・福島の原発風評被害ですか。静岡の農家はそれで相当苦しんだそうですね。今はもうそれも収まってようやく落ち着いたそうですが、リーフの日本茶離れは実感として感じますか?

残念ですが今は急須を持っている方も減っています。なんとかお茶を広めていこうと、急須を使った日本茶の淹れ方教室などを開いたりしています。静岡茶業青年団という組織があって、20代から45歳くらいまでの若い世代で作られた組織を結成してそういった活動をしているんです。

素晴らしい。

自分で急須を使って入れてもらう事で、そこから人間同士のコミュニケーションや話題の広がりなどにも繋がると思っているんです。ここにもお茶を愛する人たちが集っています。よろしければ、行ってみてください。

骨雄は和田長治商店の情報を手に入れた。
平岡商店の情報を手に入れた。

日本に静岡茶を伝えた聖一国師の生家の前の茶畑が荒れて放置されていたんです。これを私たちが 植え替えて復活させました。4年ほどかかりました。

4年も!?

収穫の時は50人以上が集まって、ひとつひとつ手で摘み取ったんです。年間30キロほどしかとれませんが。

年間30キロって少な過ぎですよ。

結果としては世界緑茶コンテストで最高金賞を頂きました。2014年から3連覇です。それが茶の芽の「伝説セット」と「天空セット」になります。

天空セット到着、同時にほうじ茶プリンも来ました。小さな砂時計が添えられています。店員の方からは丁寧にお茶の説明と淹れる時間、方法や注意点など丁寧な説明がされました。

美味しいお茶は淹れ方も難しいところがあります。最高金賞をとったお茶なので是非とも適切な淹れ方で飲んでいただきたいと思い、店で提供をすることにしました。

適温と適量で淹れられたお茶はホントに素晴らしいですね。しかも最高金賞とは。この美味さがもっと広まれば日本茶は一気に復権すると思うんですけれど。2019年の茶業界はどんな感じですか?ボクは茶葉の収穫の時期が遅いというのは聞きました。

続いて抹茶チョコフォンデュが到着した。

時期もそうですが、収穫の量が少なくなっているんです。今いるほとんどの茶農家は65歳以上になります。静岡茶は斜面での作業が多いですし本当に辛いだろうと思います。

ボクあれ手伝った事あります。あれはキツイですよ、吐きそうになりました。あんなのお年寄りにやらせられないと思います。

去年、とうとうペットボトルのお茶の茶葉の量が、急須で淹れるリーフの茶葉の量を上回ったんです。

悲しいことです。紅茶やコーヒーは手間暇かけて飲むのに日本茶はそうならないというのは。日本茶の本当の味や魅力を知って、それでも飲まないというのであれば仕方ないですけれど、そもそも最初から選択肢の中に入っていないから、みんな本当の味を知らない。

相当お茶を好きなんですね。

ボクはもうほとんど変態ですよ。周りには秘密にしてますけど。

これなんかウチの夏の売りですよ。「抹茶かき氷」。普通のかき氷と違って、お茶の葉と抹茶を氷の中に入れてあるんです。それをかき氷として削り出します。これを求めて夏はお客さんが凄かったです、行列が出来ました。

おお、行列までできたんですか!?
(最後は抹茶ソースをアフォガードにするボク)

冬はそれに比べると、かき氷を提供していた時ほどのお客様は来られなかったんです。では冬もかき氷に負けないようなメインを作ろうと考えまして、それで作ったのがやきいもパフェです。ウチの嫁が鹿児島でさつまいも農家をやっていまして、それを貰っているんです。

産地直送のやきいもですか!?美味そうですね。やきいもパフェ下さい。

大丈夫ですか?

イケます。
(お茶無敵説)

あれを、ご存知ですか?水琴窟というんですが。

水琴窟?

この下には1.5メートルの穴が掘ってあり、中にに60センチの瓶をさかさまに置いてあります。水を流して見ましょう。綺麗な音色がするんです。店の前を走る車の音で余り聞こえない時がありますが、どうです。
(水を流す店主)

り~んと静かに音が鳴り響く。

静かで美しい音です。
(やきいもパフェを味わいながら美しい水琴窟の音に癒されるボク)

帰り際、森田製茶が4年かけて復活させたという静岡茶を伝えた聖一国師の生家の前の茶畑を見てみた。荒れ果てた茶畑を復活させるのに一体どれだけの苦労があったのだろう。そして、それが最高金賞をとるというのは、聖一国師のご利益なのか、それとも作り手の技と熱意なのか。歴史と神秘を感じる素晴らしい茶との出会いだった。

静岡茶業青年団。きっとお茶が好きな人々が集まった素晴らしい組織なのだろう。森田製茶の店主が志の高い茶仲間を紹介してくれて新しい訪問先も出来た。山間をドライブしながら、日本茶を広めた偉人にまつわるカフェに巡り合った骨雄。ご利益を願いながら、癒しと日本茶を巡る旅は続いていく。

窓の風景その39