癒しのコツ~茶と骨~
骨 茶道のコツ
骨 続・茶道のコツ
骨 続々・茶道のコツ

その五十三、冒険の旅~杉本園~です

川根方面の茶農家は大分周ってきましたので、そろそろ牧之原方面の茶農家を巡る事にします。牧之原は川根と違って日当たりが良く茶木が丈夫で茶葉が厚いのが特徴です。出来上がるのは「深蒸し茶」。甘く深い味わいの中に若干の渋みが特徴です。

牧之原地方をドライブしながら良さそうな茶農家を探します。それにしても茶畑の広さが凄い。これは川根の茶畑とは比べ物にならない広大さです。圧倒的な広さの牧之原の茶畑を目の前にしながら山間の茶農家の方々の「あの言葉」が思い出されます。

このままでは静岡茶は鹿児島茶に負ける。

この圧倒的な規模の牧ノ原台地の茶畑が負けるというのだろうか?信じられないことだ。

さて、これまで川根茶の農家はお互い皆仲良くやっていますし取材(?)も協力的でした。しかし牧之原はどうなのでしょう。茶畑が広大なので川根茶農家の方と人格がまったくちがうかもしれない。出来ればいろいろと話を聞かせてくれるところがいいな。

この茶農家良さそうだな。行ってみるとします。まずはただの客として入ろう。いろいろ話をしながら、サイトに載せてもいいか少しずつ探りをいれてみるとします。

静岡県島田市金谷猪土居3769-3
杉本園

杉本園は静岡県の牧之原台地で、自然農法でお茶作りをしているお茶農家です。 平成5年から農薬・化学肥料を一切使用しない有機栽培をはじめました。 現在では有機肥料も一切使わない無肥料栽培の、自然栽培へと移行しました。 どなたでも安心して飲める優しい味わいの深蒸し茶です。
是非お試しください。
杉本農園のホームページより

こんにちは、茶葉を買いに来たのですが

はい、どのような茶をご所望でしょうか?

いろいろ種類がありますね。

よろしければ試飲してみますか?

はい、お願いします。手摘みの深蒸し茶をお願いします。

どうぞ。

おお、深蒸し茶美味いですね。
(ああ・・・とろけそうだ)

普段からこういうお茶を飲まれるんですか?

これまでは川根茶にハマっていたんですが、深蒸し茶も飲みたくなりまして。手摘みの深蒸し茶は・・・これまた深い味わいで素晴らしい。

ありがとうございます。

しかしリーフのお茶離れが今深刻みたいですよね。こんなに美味しいのに・・・どうですか、お茶離れは実感として感じますか?
(まずは不安をあおるボク)

そうですね、急須を使ったお茶ということになると買いに来られる方は年齢層が高いと思います。若い方がお茶を買いに来るというのは確かに少なくなってきていると思います。

なんか鹿児島の方とか機械化で勢いが凄いらしいですね。
(更に不安をあおるボク)

凄いらしいですね。

日本茶の本当の味を知った上でリーフの茶を飲まないというのであれば、それは仕方ないと思うんですよ。でもそもそも皆日本茶の本当の味を知らないじゃないですか。このままじゃあどんどん静岡茶は元気を失くしてしまう。こんなに美味しいのに。
(大げさに首を横に振りながら話して更に更に不安をあおるボク)

確かに、味を知らないというのはあると思います。

静岡茶が産業として危険な状態にあるというのに、その割に静岡茶を飲める場所とか、どこにどういった店があるとかパッとわかるサイトとかないですよね。そういうのないと静岡に来た観光客もわからないんじゃないですか?今は静岡茶マップという本が出てますけど、載っている店もそんなに多くないですし、やはりスマホで分かりやすいのを作った方が客も店もお互いにとっていいのではないですかねぇ?
(しらじらしいボク)

その通りだと思います。しかし、そういったサイトというのは、やはり有志の方にやっていただくしかないのかもしれません。

お茶業界もいろいろ複雑で、そういったものがお茶業界から出てくることはないだろうというのも事情として知ってはいます。例えばですけれど・・・もしそういったサイトがあれば、どうですか、迷惑ですかね?
(しらじらしいさぐりをいれるボク)

いえ、やってみなければわからないと思いますが、ウチとしては歓迎します。

ホントですか?迷惑だったりしませんか?
(念を押してさぐりをいれるボク)

はい、是非誰かにやっていただければ!

骨雄は正体をあらわした!

というわけでいろいろ話を聞かせてもらいました。

杉本園は農薬・肥料一切使いません。日本と欧州の残留農薬の基準の違い等も考え、いろいろな試行錯誤の結果、杉本農園は完全な自然栽培でやろうと決めました。

それって大変なんじゃないですか?

もちろん物凄い大変です。しかし世の中にはごく少数ですが、化学物質を一切受け入れられない方もいるんです。シャンプーや洗剤だけでも肌が受け付けないといった方は、たとえお茶でも飲めば飲むほど辛くなります。

ああ、聞いたことあります。日本人の食べるものが変わってから、いろんな体質の方が出てきたとか。

近年ですが、そういった方が出てくるようになったそうです。そういった方にウチの茶は大変良く買われます。

それで、どうでしょうお茶離れは感じていますか?

杉本園はずっと好評が続いていたと思います。しかし震災の後で一気に落ち込んだんです。

放射性物質ですか?他の茶農家でも聞きました。確か風に乗って静岡でも検出するようになってしまったと。

はい、2011年にドイツの審査機関に放射性物質の審査をしていただきました。それを公表したところ一気に売り上げが落ち込みました。最近ようやく売り上げが戻ってきたところです。

うわ・・・それは大変でしたね。

話は進んでいく。

牧之原の深蒸し茶というと川根茶とは結構お湯の温度が変わりますね。茶葉も大分形が違います。

平地の牧之原の茶葉は山間地に比べて葉が厚いので、細かい針金のような茶葉に仕上げるのはかえって良くないんです。形状は粉っぽい部分もあるのが深蒸し茶の特徴です。お湯もぬるめのお湯で淹れることもあれば熱めのお湯で淹れることもあります。

川根茶と深蒸し茶は大分淹れ方も違いますね。

私たちの願いとしては、しっかりとした淹れ方で深蒸し茶を飲んでほしいということです。深蒸し茶は深蒸し茶の淹れ方がありますので。

わかります。お茶は淹れ方で味が大きく変わってしまいますからね。お茶の本当の味を知ってもらえれば日本茶は広まっていく。ボクはそう信じています。

というわけで以下深蒸し茶の説明です。

深蒸し茶の茶葉の形状は山間とは違い、針金状の茶葉が良いとはなりません。深蒸し茶は茶葉が厚いので、針金状に仕上げるとかえって飲みにくくなってしまいます。深蒸し茶の茶葉の特徴としては若干粉っぽいところがあります。出来れば急須も深蒸し茶専用の急須を使用するのが望ましいです。山間部のお茶用の急須と深蒸し茶用の急須では、内部の網目の細かさも違います。

淹れ方としてはまず、沸騰したお湯を湯のみに注ぎます。お湯が冷め、湯のみも温まります。

深蒸し用急須に茶葉(一人約2グラム)と湯のみのお湯を注ぎます。高級茶は60℃から70℃、普通茶は好きな温度でどうぞ。深蒸し茶用の急須は内部の網目が細かいのが特徴です。

お湯を急須に注ぎ30秒~1分ほど待ち、湯のみに回し注ぎます。最後の一滴まで淹れてください!

以上深蒸し茶の淹れ方でした。お茶の種類に応じた淹れ方で主体的に日本茶を楽しみましょう。
上記の画像は杉本農園の画像を使用させていただきました。杉本園の手摘みの深蒸し茶も手に入れることが出来て新しい茶農家との出会いに感謝です。

山間の茶から平地の茶へと徐々に冒険の旅の場所を移してきた骨雄。お茶を愛し、お茶を飲む人までも愛する茶農家の想いに心を打たれる。お茶の生産方法は皆違えどお茶を愛する気持ちは皆同じ。広大な牧之原の茶畑を生きる茶農家もやはり良い人だった。ただ山間の茶農家が皆口を揃えて言ったあの言葉がどうしてもひっかかる。
「鹿児島茶はもう規模が違い過ぎる。このままでは静岡のお茶は終わる」
本当にそんなことがありえるのだろうか?信じられない気持で癒しと日本茶を巡る旅は続く。

窓の風景その55